樹脂は有機材料、ガラスやセラミックスは無機材料に属し、有機と無機材料を混合してできたものが複合材料である。
複合材料の特長は金属に較べ軽量、電気絶縁性に優れており、無機材料が補強の役割をしており高強度である。
主な用途はプリント基板向けの電子材料や航空機向けの機体材料、その他産業資材である。
本測定結果から樹脂の軟化温度における複合材料の温度特性を考察する。
図3は複合材料の動的貯蔵弾性率E’(Pa)と温度の関係であり、試料2種を並べたものである。
貯蔵弾性率とは試料に外力を与えることにより生じた内部エネルギーである。各曲線とも低温側から高温側にかけて右下がりの傾斜を示している。
この傾斜はそれぞれ樹脂のガラス転移である。その転移を終えた温度から高温側にかけて平坦になっている。
但し試料Aは280℃付近から再び右下がりの傾斜が生じている。試料Aには2種類の樹脂が混合しており、それらのガラス転移が生じているのである。
平坦領域は無機材が補強の役割をしており、結晶性ポリマーの結晶弾性に類似している。
結晶性ポリマーはある温度で融点が生じるが、複合材料は生じない。
複合材料Bは140℃付近から高温側にかけて平坦であり、これは温度に依存せず状態が安定していることを示す。
一方複合材料Bは100℃から320℃にかけて温度に依存しているが弾性率が高い。強度的にBよりも高い可能性が考えられる。