液体の粘度がせん断速度(流れの速さ)に依存しない性質を
いう。また僅かでもこの液体に応力を与えるとせん断速度
が生じ降伏値は存在しない。ニュートン流動の状態は液相
が低分子の集合体となって流れている。水やエマルジョン
(油が水に分散したようなもの)に応力を与えるとニュート
ン流動が生じる。液体高分子は、分子鎖の絡み合いが妨げ
になり、非ニュートン流動になるが、極めて流れが遅い場
合または極めて速い場合は、分子鎖の絡み合いが集合体に
なった流れや、全体の絡み合いが切れたような流れになり
ニュートン流動が生じる。
液体の粘度がせん断速度(流れの速さ)に依存する性質をい
う。非ニュートン流動の状態は液体高分子など分子鎖の絡
み合いが妨げになって、外力と流れの速さの関係(粘度)に
影響する。外力を強くするほど分子鎖の絡み合いが切れる
頻度が高まり、外力に対する流れの速さの度合いが高くな
るのである。但し、極めて流れが遅い場合または極めて速
い場合は、分子鎖の絡み合い全体の流れや、全体の絡み合
いが切れたような流れになりニュートン流動が生じる。
液体に与える外力(せん断応力)と流れの速さ(せん断速度)
の関係を指数関数で現す流動曲線。(非ニュートン流動)
降伏値がない流動式である。
オストワルド流動式 σ=ηDn
σ(Pa):応力 η(Pa.s);粘度 D(1/sec):せん断速度
n:指数
液体に与える外力(せん断応力)と流れの速さ(せん断速度)
の関係を指数関数で現す流動曲線。(非ニュートン流動)
降伏値がある流動式である。
拡張オストワルド流動式 σ=σy+ηDn
σ(Pa):せん断応力 σy(Pa):降伏値 η(Pa.s);粘度
D(1/sec):せん断速度 n:指数
液体に与える外力(せん断応力)と流れの速さ(せん断速度)
の関係を一次関数(直線)で現す流動曲線(ニュートン流動
)。降伏値がある流動式である。
ビンガム流動式 σ=σy+ηD
σ(Pa):応力 σy(Pa):降伏値 η(Pa.s);粘度
D(1/sec):せん断速度
液体の流動における外力(せん断応力)と流れの速さ(せん断
速度)と粘度の関係を現す式。
ニュートン流動式 σ=ηD
ビンガム流動式 σ=σy+ηD
オストワルド流動式 σ=ηDn
拡張オストワルド流動式 σ=σy+ηDn
σ(Pa):せん断応力 σy(Pa):降伏値 η(Pa.s);粘度
D(1/sec):せん断速度 n:指数
液体に一定の応力を与えている間、流れの速さ(せん断速
度)が一定である状態の測定をいう。粘度は応力とせん断
速度の間における比例定数である。液体高分子は一定応力
に対してせん断速度が一定になるまで時間を要する。
液体高分子の状態は温度やせん断速度に依存することから、
温度一定によるせん断速度依存性、あるいはせん断速度一
定による温度依存性を測定する項目は粘度である。
液体の水平方向に外力を与えると、流れる速さが液体の底
面からの距離に関係する比例定数をいう。
単位は1/secである。
液体高分子の水平方向に与える外力を強めてゆくと、せん
断速度(流れの速さ)上昇に従って分子鎖の切れる割合が高
まり粘度が低下してゆく。その状態から外力を弱めてゆく
とせん断速度下降に従って切れた分子鎖の絡み合う割合が
高まり粘度が高くなってゆく。これらを粘度とせん断速度
の関係図でみると、せん断速度上において、粘度低下の曲
線と粘度上昇の曲線が重ならない場合がある。この現象を
チキソトロピーいう。この現象は切れた分子鎖が絡み合う
過程において時間的な遅れを示すものである。
高分子液体の水平方向に与える応力を強くしてゆくと、せ
ん断速度が上昇してゆく過程において段差状に粘度が低下
する現象をいう。これは分子鎖の絡み合い全体が同時に切
れることによるものと考えられる。
チキソトロピーはせん断速度上昇に伴って、連続的に粘度
が低下してゆく過程を指し、広い意味でこれも構造粘性と
いう場合がある。
液体高分子の水平方向に応力を与えている間、絡み合った
分子鎖群が連続的に離れてゆき、応力を止めると連続的に
に分子鎖群の絡み合いが再生する現象をチキソトロピーと
言い、再生過程で弱い動的ひずみ(振動)を与えると再生速
度が速くなる現象が生じた場合、これをレオペキシーとい
う。
粉粒体の上面まで液体に浸かった状態の物体に対して、外
力を与えると、液体が粉粒体の粒子間に浸透し、粉粒体表
面が乾燥したようにみえる状態の変化をいう。ダイラタン
トは膨らみと言う意味である。高分子溶液はせん断速度上
昇に伴い粘度が低下する。これは絡み合っている分子鎖の
解れる度合いが増す傾向にあるためである。ダイラタント
はせん断速度上昇に伴い粘度が増加する。これは分離して
いる液体と粉粒体が絡み合う傾向にあるためである。
一例を挙げると、クッキングパウダーに少量の水を加えて
かき混ぜるとパウダーに粘りが増す状態がダイラタンシー
に該当する。
インキ、塗料など高分子分散系の溶液を対象に加える静的
応力を段差状に増してゆくと粘度がせん断速度に依存する。
また動的応力を段差状に増してゆくと同様に粘度が角速度
に依存する。前者の粘度を静的粘度、後者を動的粘度とい
う。せん断速度と角速度の数値が溶液の流れにおいて等価
であると考え同一の速度範囲上で両者の粘度曲線が重なる
経験則をコックスメルツ則という。
高分子分散系の溶液を対象に加える静的応力を段差状に増
してゆくと、液体の流れの速さに相当するせん断速度との
間に二次関数で現すことのできる関係がある。応力とせん
断速度をそれぞれ平方根でとり、一次関数で現したかたち
の関係をキャッソンプロットという。この関係図は降伏値
が存在するビンガム流動方程式で現すことのできる関係図
と同じかたちである。
液体に応力を与え細管を通すことにより、せん断速度(流
れの速さ)が回転式のせん断速度に較べ、高い状態における
粘度測定をいう。キャピラリーは細管(または細孔)と言う
意味である。応力を段差状に増してゆくと、外力とせん断
速度との関係から、回転式に較べ高いせん断速度範囲にお
ける粘度曲線を描くことができる。
キャピラリー粘度測定に使用する細管ノズルの長さが短い
ため、液体に圧力を与えるとその両端(液体の入り口と出口
)における圧力差が原因となってせん断応力に誤差が生じる。
これを見かけのせん断応力という。
細管ノズルの長さ(管長)を補正する方法をバグレイプロット
という。補正後を真のせん断応力という。
物体に応力を与えると、その物体は変形または流動する。
物体が外力に応答する変形や流動を考える学問をいう。
固体が小さな外力による変形を弾性変形、大きな外力によ
る変形を塑性変形、それらの境界を弾性限界という。
弾性変形は外力を受ける瞬間に生じ、塑性変形は変形終了
までに時間が生じるこの現象が流動である。
高分子液体にも固体同様に弾性限界がある。但しその範囲
が固体に較べ非常に狭い。
物体に静的応力または動的応力を与えると変形(流動)ひず
みが生じる。応力とひずみを測定する器械をレオメータい
う。レオは流動という意味である。静的応力を与えて高分
子物体に生じる変形の履歴(変形ひずみと時間の関係)をク
リープ測定という。動的応力と動的ひずみの大きさとひず
みの遅れ(位相差)との関係を動的粘弾性測定という。